私の実家は山の中です。野良猫や飼い猫が自由に闊歩しているすばらしい環境。
時には、心無い人が猫を捨てていきます。成猫や仔猫など、人間になれている猫たちが捨てられます。
そんなかわいそうな猫の内の一匹、茶トラの雌猫が子供とともに実家を訪問していました。
例によって、愛猫とら を亡くしたばかりの猫じじと猫ばばのもとにやってきたのです。
母猫と、大きくなった長男・長女。そして生後1ヶ月ほどの仔猫4匹。
総勢7匹の茶トラ軍団です。猫じじは喜んでおまんまを振舞っていました。
しばらくすると、親猫と仔猫だけになりました。
仔猫は オス3匹 メス1匹で、人間は怖いけど、おまんまもらえるから近寄ってくるという感じ。
仔猫の生存競争は激しいものがあります。自然の摂理ですね。
弱いメス猫は、強いオス猫に蹴散らされておまんまにありつけない。いつも離れて座っている。
けっして、仔猫たちに名前をつけなかった猫じじは、いつしかメス猫を『はぐれ』と呼んでました。
時は流れ仔猫が大きくなると、オス猫は来たり来なかったり・・・。
でも、メス猫「はぐれ」は毎日やってきたそうです。
大きくなったので「また仔猫が生まれるとたいへん」とおもった猫じじは「はぐれ」に避妊手術を
することに決めました。
病院で『名前は?』と聞かれ、猫じじはとっさに『キリコ』と答えたそうです。
「はぐれこきりこ?」っていう演歌があるそうです。そこからとったらしい・・。
それから、『キリコ』は実家の猫になりました。
昼間は猫じじと猫ばばと一緒に生活し、夜になると外へ出かける。朝、夜も明けきらないうちにきて、
「早く起きろ」と鳴きおまんまの催促をする。おおちゃくない キリコです。
猫じじのひざが大のお気に入りで、昼間はほとんど寝てました。
私がたまに帰省すると、”シャー”と威嚇して怒ってからそそくさと逃げていきました。
ノラの習性がぬけないキリコは、猫じじと猫ばば以外には懐かなかったのです。
キリコは、猫大好きじじばばに溺愛され、ほんとうに幸せそうでした。
そんなキリコは、至福の2年ほど過ぎた去年の5月。突然姿を見せなくなりました。
いままでプチ家出は何度かあったのですが、もう一年以上になります。
猫じじも猫ばばもとっても心配していましたが、今はあきらめているようです。
猫じじ曰く、近所の野良猫も同じ時期に姿を消したらしいです。
人間の撒いた毒にやられたか、他の動物にやられたか、猫さらいにやられたか・・・。
美和の埋葬のときに、猫じじに言われました。「死んだことがはっきりしている分、お前は幸せだ」
いまだに、キリコのおまんまを捨てられない猫じじ。つらいだろうと思います。
どこにいるにしろ、キリコが幸せであることを願う miwamamaです。